染み抜き薬品(酸性)
性状: 強い刺激臭を有する無色の液体で、濃度99~97%のものは摂氏17℃以下では
凍るから、氷酢酸という。
用途: 抜染助剤として活用が著しい。ロンガリットとの併用。三品改良液に使用。
アルカリの中和。塩基性染料の抽出。ボールペン・インクの溶解。
アセテートに大しては危険。アルカリにより消失した色の復元。
∇シュウ酸
性状: 無色柱状の結晶
用途: 鉄サビを溶解させるのに用いる。常温でよい。生地に残留すると腐食するため、
完全に水洗し、経時変化の起きないように注意。 青インク・鉄分の除去・
織り糸のサビ・脱水機などの鉄サビ・古い清酒の汚点抜きに用いられ、
汗ジミ抜き・アクジミ抜き・代用青花のヨードの色素除去にも利用できる。
熱を加えてもよい。
∇蟻酸
性状: 刺激臭を有する無色又は淡黄色の液体で、染色用は85%濃度。
用途: 抜染助剤(ロンガリットと併用)。但し、氷酢酸よりも後日の黄変がしやすい。
染料の固着。ぎらつき直し。酸性染料による絹・羊毛の促染剤。
アセテートに対して危険。
∇フッ化水素酸
性状: 無色透明。発煙性・腐食性の液体。
用途: アクジミ抜き。鉄サビ除去。金属製のシミ、鉄塩を含んだインクのシミの除去
にも用いる。濃溶液は全ての織物の害になる。低濃度(14%以下)で使用すること。
∇石炭酸
性状: 工業用は紅色又は赤茶色で、液状又は結晶。医療品に精製されたものは、
白色の結晶。
用途: 浸染黒の抽出に適しているので、紋抜き等に利用。熱ゴテに木綿を当て、
その上に生地をのせ、染められた染料を溶かし出して、染色濃度を低下させて
抜染加工に移る。
∇酒石酸
性状: 無色透明の結晶又は粉末で、水に溶け易い。
用途: クロム染料の含金除去に用いられる。三度黒の抜染前に熱水作業(熱ゴテでの
抽出法)を行い、金属物の除去を行って抜染効果を上げるのが目的。
その後に三品改良抜染糊で抜染するとよい。夏御召のカビ落しにも効果がある。
∇硫酸
性状: 無色透明の液体。98%濃度
用途: 30℃~40℃の温浴に3分の1程度の希硫酸を入れ、メラミン樹脂の除去。
同じ方法により、フィックス剤の除去にも用いる。皮膚にかかると火傷を生じ、
組織を破壊し、目に入ると失明する。硫酸を薄める場合は、大量の水の中へ
少しずつ注ぎ、この逆をしてはならない。
∇クエン酸
性状: 結晶又は粉末
用途: シュウ酸の代用。シュウ酸を使っての水洗が」不可能な場合、アルコールに混ぜて
用いると水洗しなくても使用可能。酒石酸と同様に三度黒の抽出にも用いる。
∇塩酸
性状: 刺激臭のある無色又は淡黄色の液体。
用途: 揮発酸で10倍に薄めて亜鉛末取りに用いる。染料及びインキのしみ抜き。
レーヨン織物からアルブミンのシミを除去するのに必要で、3%~5%濃度で用いる。
粘膜に破壊作用のある刺激剤で、肺水腫・炎症・上部呼吸器官と粘膜に潰瘍ができる。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(アルカリ)
性状: 無色透明の液体
用途: 酸性薬品の中和、水元などによる染料の打ち合いの色剥がし。
(30℃~40℃の温湯100リットルを水槽に入れ、生地を浸漬させて繰る。)
染料抽出剤としての利用もあり、浸染黒の抽出によい。
塩基性染料の発色に用いる。毛織物の油分洗浄剤、硬水の軟化材、
カゼイン解膠剤、引染の助剤(緩染剤)、生洗い、汚れ洗い及びしみ落とし全般に
石けんとの併用で多用される。充分な水洗が必要で、残留すると黄変する。
∇青酸カリ
性状: 白色固体
用途: 銅サビ落しに用いる(真鍮サビ落し)
∇苛性ソーダ
性状: 白色半透明の固体
用途: 木綿、セルロース繊維の精練。希薄液で生洗の使用。
∇炭酸ナトリウム
性状: 白色粉末
用途: 水に溶けアルコールに溶けない。一般洗濯用。
∇硼酸ナトリウム
性状: 無色透明、単斜晶系。
用途: カゼインの溶解に用いる。
∇珪酸ナトリウム
性状: 白色又は灰白色の塊状又は粉末又は粘チョウ液。
用途: 弱アルカリ性であるため、生洗いなどで石けんと併用して用いる。
∇トリポリりん酸ナトリウム
性状: 水溶液は、アルカリ性を呈する。
用途: 洗浄剤、金属イオン封鎖剤、炭酸マグネシウムと併用して御召の染み抜きに用いる。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(還元剤)
性状: 灰色の粉末で、亜鉛地金を焙焼し、亜鉛蒸気にして乾燥採取したもの。
用途: ハイドロサルファイトの製造原料であり、一般に還元剤、抜染剤、防染剤として使用。
補正では氷酢酸、重亜硫酸ナトリウムと混合し、三品改良として還元抜染剤として
重宝される。三品改良は、熱により反応が進み、ハイドロサルファイトを生じる。
∇重亜硫酸ナトリウム
性状: 白色粉末及び淡黄色の液体
用途: ヨード、ヨードカリ液の使用後の着色後の脱色に用いる。
補正では、三品改良として使用。
∇三品改良液
性状: 灰色の粘液で特異臭があり、亜鉛末(2g)・重亜硫酸ナトリウム(2cc)・
氷酢酸(3cc)の割合で配合したものが良いと思われる。
用途: ロンガリットと共に補正の抜染剤として不可欠の薬剤。ロンガリットでは抜け難い
黄色の染料の抜染。でんぷん糊を混合しての紋抜などには特に重宝され、
薬品の調合の仕方により抜染効果を変化させることも出来る。
∇ロンガリットC
性状: 白色粉末
用途: 氷酢酸や蟻酸と併用して使用する。熱ゴテにより友禅の泣出抜き、水元の泣出し、
打合、染料ジミの抜染に用いる。ローダミン、オーラミンを天日に晒して抜く方法もある。
∇デグロリン
性状: 白色粉末
用途: 補正においては主として三品改良と併用し、三品改良の抜染効果を上げるのに用いる。
抜染の色はげに注意。単品による氷酢酸、蟻酸との併用による抜染も可能である。
∇DSコンク
性状: 白色結晶
用途: 三品改良と混合して抜染効果を高める。また、ロンガリットと氷酢酸或いは蟻酸との
混合液の中にDSコンクを加えることにより、抜染効果が上がるが、効力の持続性に難点。
DSコンクと氷酢酸、蟻酸との混合液でも抜染が可能。
合成繊維の抜染に、膨潤剤・染料溶解剤との併用で用いられる。
∇ハイドロサルファイト
性状: 白色の粉末
用途: コンクとSS型、いずれも漂白剤、脱色剤、還元剤に用いる。SS型は連続性がある。
∇無臭ハイドロ
性状: 白色粉末
用途: 珪酸ソーダ、メタ珪酸ソーダを加えて、弱アルカリ下で漂白度は
ハイドロサルファイトよりも小さい。色目により非常に効果的。
∇チオ硫酸ナトリウム
性状: 無色単斜晶の大結晶
用途: 塩素を溶解する性質があり、脱塩素剤として利用。ヨード、ヨードカリ液の使用後の
色素の脱色に用いる。過マンガン酸カリの使用後の脱色にも用いる。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(酸化剤)
性状: 白色顆粒状又は結晶性粉末
用途: 漂白剤として使用するが、青色・紫色に使用すると、地色がクリーム色等の場合、
青色だけを抜いて地色を損なわずに脱色できる。
黄変抜き。アク抜き、三度黒の脱色(漂白)などに用いる。使用後は酸で中和する。
脱色中、布地を乾燥させると生地を脆化させるので注意が必要。
∇過酸化ナトリウム
性状: 純粋なものは白色。一般には淡黄色を帯びている。顆粒状の吸湿性の粉末。
熱すれば黄変。
用途: 黄変ジミ、アクジミの漂白。青色系、紫色の脱色。三度黒の染料しみ抜き。
メリケン粉と併用しての三度黒の抜染、青花の黄変の漂白。胡粉場のカゼイン焼けの漂白、
朱色の染料たまりの色はがし、カビ抜き等、利用度は高い。
いずれの作業においても氷酢酸で中和しなければならない。
強アルカリであり、生地の脆化の危険度を計算して熱処理をするのが望ましい。
過酸化ナトリウムは水に溶解して反応が進み、過酸化水素水となる。
∇過酸化水素水
性状: 無色透明の液体
用途: 酸化還元電位が低いので、繊維の脆化が少なく、綿の連続精錬漂白、
絹・羊毛・レーヨン・アセテートの漂白に用いる。
染め上がり品の青花の残留の漂白、黄変ジミの漂白、過硼酸ナトリウムや
炭酸マグネシウム、過炭酸ナトリウム、京クリンなどと併用して黄変ジミの脱色に用いる。
∇炭酸マグネシウム
性状: 軽白色粉末
用途: 過酸化水素と併用して黄変のしみ抜きに用いる。トリポリりん酸ソーダとの併用にて、
御召のしみ抜きに用いる。一般的には炭マグを塗布して乾燥状態になるまで置いておくが、
地色を脱色する場合もあり、酸化剤で変化する色目に大しては(紫・青など)、
1分~2分、又は3分~5分と小刻みに炭マグを塗り替えることにより、
地色を損なわずに黄変のシミを取ることが出来る。
浸染黒の三品改良での抜染後の漂白にも効果がある。
∇過炭酸ナトリウム
性状: 顆粒状白色粉末
用途: 黄変ジミの漂白、アク抜き、三度黒の抜染、紫・青等の染料の抜染に用いる。
過酸化ナトリウムと比較すると、生地の脆化は穏やかである。
∇京クリン
性状: 白乳色の液体
用途: 黄変ジミの漂白に効果があり、熱を加えて即効でしみ抜きする場合と、
熱を加えず塗布して放置して抜く方法がある。浸染黒の三品改良での抜染後、
塗布して漂白する。
∇過マンガン酸カリウム
性状: 暗紫色の結晶
用途: カビの除去に使うが、分解物の二酸化マンガンが茶褐色をしており、
重亜硫酸ナトリウム、またはチオ硫酸ナトリウムで還元し色素を取り、
その後充分に水洗をする。粒子が完全に溶けていないと、強アルカリのため
生地の脆化をきたす。
∇亜塩素酸ナトリウム
性状: 結晶性白色粉末
用途: 化繊とセルロース繊維の漂白剤。動物繊維には使用不可能で、
絹に用いると黄変するのは、絹を構成するアミノ酸と塩素系酸化剤との化学変化による。
塩素系漂白剤の使用後は、脱塩素剤を用いて塩素分を取り除くこと。
脱塩素剤として、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素がある。
∇ヨードカリ
性状: 白色方体状の結晶粒子又は粉末
用途: ヨードの溶解剤
∇ヨード
性状: 金属性の紫黒色板状
用途: 朱肉落とし、水銀化合物の汚点、水銀防腐剤の黒い汚点落しに使用する。
ヨードによる着色が残るから、チオ硫酸ナトリウムで処理し脱色する。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(有機溶剤)
性状: 無色透明で芳香性の臭いのある液体
用途: 印金加工落し、口紅、油脂類、ペンキ、プロセス紋落し、合成樹脂の溶解、
ダック落し、マジック、ボールペンインク、マニキュア、スタンプインク、
塗料などのシミ落し、古い油染みのシミ落し
∇揮発油(ベンジン)
性状: 無色透明の液体、特有の臭いあり。
用途: 補正には欠くことの出来ない溶剤で、汚れ落しに始まり、油性のシミの処理、
ゴム落し、着用後の着物のシミ落し、汚れ洗いにと利用度は高い。
ベンジンソープとの併用が多く、ベンジンソープの洗浄不十分による経時変化を
起こさない使用法を知ること。ベンジンソープを用いて汚れが落ちたとする状態では、
その汚れとベンジンソープが品物に均一分布されたという事であり、
その汚れやベンジンソープを出来る限り洗浄する方法を考えたいものです。
石油系溶剤の取り扱いで注意が必要なのが引火性で燃えるという概念でなく、
空気と混合気を作って爆発するという性質があるという認識を持つ事です。
通常の作業環境の中での許容量は300ppmです。環境保全は健康面からも必要です。
∇酢酸アミル
性状: 芳香のある引火性無色の液体
用途: 塗料・ペンキ・プロセス紋・合成樹脂の溶解。マジック・ボールペンインク落し。
加熱前のバインダー落し、ラッカー落し。純度の高いものは、全ての繊維に無害。
しかし、工業用及び商業用純度のものは、不純物を含むため、アセテートを傷める。
また、ある種の塩基性染料を滲出させる。アセテートに用いる場合は、冷時のものなら
傷めない。皮膚障害物質として注意が必要である。
∇アセトン
性状: 揮発性高度引火性無色の液体で、特有の芳香がある。
用途: 塗料・ニス・タール・マジック・ボールペンインク・プロセス紋・合成樹脂の溶解。
∇シクロヘキサノン
性状: 無色又は淡黄色の液体で、tくいなアセトン臭あり。
用途: マジック・ボールペンインク・プロセス紋・合成樹脂の溶解
∇メチルアルコール
性状: 無色透明の可燃性液体。
用途: 焼付け金の除去。ボールペンインク・マジック・染料・合成樹脂の溶解。
∇エチルアルコール
性状: 無色透明の可燃性液体
用途: 香水・ニス・染料の溶解。合成樹脂・天然樹脂の溶解。
∇トリクロルエチレン
性状: 無色透明の液体
用途: 合成ゴム・塩化ビニール樹脂・ボールペンインク・プロセス紋・樹脂の溶解。
∇パークロルエチレン
性状: 無色透明の液体
用途: ゴムの溶解。ボールペンインク・油脂・合成樹脂の溶解。
∇トリクロロエタン
性状: 無色透明の液体
用途: 油脂・ろう・油汚れ・合成樹脂の溶解。ドライクリーニング溶剤。
∇シクロヘキサノール
性状: 無色透明の液体
用途: エマルジョン安定剤・分散剤。ゴム・ニトロセルロース・樹脂・鉱物油・
セルロースエステル及びエーテル油脂・ロウの溶解。プロセス紋・染料の溶解。
∇ベンゾール
性状: 無色透明の液体
用途: ラッカー・ゴム・油・合成樹脂の溶解。
∇クレゾール
性状: 無色又は黄色の液体、白色結晶
用途: 染料抽出
∇グリセリン
性状: 粘っこい吸湿甘味のある無色無臭の液体
用途: 塗料・染料・合成樹脂の溶解。樹脂の原料ともなる。
∇フッ素樹脂(ダック)
性状: 粘っこい無色透明の液体
用途: 友禅などの撥水剤・着物の防水剤・防染剤として用いる。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(天然樹脂)
性状: 玉、粉末
用途: (玉) 顔料・金泥の接着。スレ直し。
(粉末) 抜染胡粉の止め。酸に強く、防染剤の場合、強酸使用に際しては、
多く使われている。
∇アルギン酸ナトリウム
性状: 粉末
用途: 染料混合向き。市販のアルギン酸ナトリウムは、膠のように水に徐々に溶けて、
極めて粘っこい液体を作る。抜染、仕上げ用糊料として使用。
∇アルブミン末
性状: 粉末
用途: 卵白より製造。蒸気熱で固着。友禅胡粉向き。
∇カゼイン
性状: 粉末。水にほとんど不溶。アルカリに溶解。
用途: 溶解剤との混合品と、純品の二種類がある。顔料、染料等と胡粉の固着剤。
仕上げ用に増量剤と併用される。抜染にも応用され、ホウ砂を混ぜたカゼイン溶液は、
アラビアゴムの代用になる。
∇クリスタルガム
性状: 粉末
用途: 化繊用な染糊。高熱に耐える寒梅粉の代わりとして容易にはがれる。
友禅の泣き止め剤にも使用。
∇ニカワ
性状: 粉末、細い棒状。
用途: 水にほとんど不溶。温水にて膨潤して溶解。顔料・胡粉の固着剤。
良質の原料を用い、工程に注意して得られる淡色(薄アメ色)透明で濃厚な温湯溶液を
冷却すると、強いゼリーを生じるものをゼラチン。粗雑な工程で濃色で多少の不純物を
含むものをニカワという。三度黒の摩擦堅牢度を高める。
∇フノリ
性状: 網目状板。
用途: 地入れ液に使用。仕上げ糊・顔料又は金粉な染の糊料として用いる。
無染友禅の泣き止めにも使用。
∇ダンマルゴム
性状: 塊
用途: ゴム糸目原料。液描防染用。
∇ゴム糸目糊
性状: ペースト。
用途: ゴム糸目・ゴム紋糊・堰出しに使用。
∇卵白
性状: フレーク・粉末。
用途: 友禅胡粉の止め。
∇CMC(カルボキシメチルセルロース)
性状: 白淡黄色粉末。
用途: 機械な染・スクリーンな染・型紙な染の元糊として使用。
無染友禅などの地入れ・糊糸目の地入れ・引き染めの地入れ・友禅の泣き止め。
∇タラカンドゴム(トラガントゴム)
性状: 固体、粉末。
用途: (固体) 特上・上・中の三種類があり、上級が一般的で友禅の泣き止め・ぼかし染め・
生地の増量に用いる。
(粉末) 二種類あり局方は紋上絵に適する。吸湿性は比較的少ない。
友禅の走り止め、顔料固定剤、光沢剤に用いる。
∇デキストリン
性状: 黄色、白色粉末。
用途: ロウ割れ模様に使用。友禅の地入れ、泣き止めに使用。
∇豆汁
性状: 淡黄色の不透明な液体。
用途: 染料固着剤。腐敗し易いが、消石灰を少量加えると長く保存できる。
引き染めの地入れに用いる。
∇ブリティッシュゴム
性状: 粉末
用途: デキストリンとでんぷんの混合物で、機械な染糊として使用。
∇友禅糊
ペースト状。な染糊・抜染糊・伏せ糊などに使用。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(合成樹脂)
性状: 粉末
用途: 染料液描の泣き止め。溶液を極めて薄めてスレ直し剤として用いられる。
∇メラミンホルマリン樹脂
性状: 白い粉末
用途: 強いアルカリ性。顔料固着用な染糊添加。
∇バインダー(エマルジョン系接着剤の総称)
性状: 白色の液体
用途: 顔料・金粉・箔などの接着。
∇ミヤコゾール
ペースト状で顔料・アルミ粉の接着用。
∇バタフライチャック
粘り状の接着剤。防染剤。紋型の接着。
∇クリヤーラッカー
刷毛の糸に塗る透明ラッカー。紗張りにも使用。
∇フィキサチーフ
エアゾールタイプで、パステル・木炭・コンテ・胡粉止めに用いる。
∇箔下糊
(ペースト) 箔押し・手な染用。
(液状) 金粉混合糊、半透明砂子糊に使用。
∇金粉
粘り状で糸目金のふちくくり糊。
∇盛上糊
エマルジョン系の樹脂で盛上箔用。
∇パラジウム
液状。のり剤で水でのばして柔軟剤に用いる。撥水剤。
∇シリコン樹脂
液状で、撥水・消泡・平滑・防汚・防カビ剤として用いる。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(界面活性剤)
性状: 棒状
用途: 羊毛の洗浄・ソーピング・絹・人絹・綿の精錬。生洗い・しみ落としに用いる。
∇ロート油
性状: 液状
用途: ヒマシ油を硫酸で加工した油剤。浸透剤・柔軟平滑剤・均染剤・乳化剤として用いるが、
三度黒の柔軟剤としては用いないのがよい。(生地の脆化につながる)
∇クリンテット
性状: 粉
用途: 石油系合成洗剤でソーピング、洗剤として生洗い、しみ落し、染料液の浸透剤として用いる。
∇モノゲン
ペースト状のソーピング剤。しみ落としの浸透剤に用いる。
∇ティポール
液状でしみ落し用。染料液の浸透に使用。
∇メイジェントTOM
液状。ダック友禅の補正の浸透剤として有効。
∇シントール
液状。生洗い用で生地につやが出る。
∇スキット防水の液体
褐色の液体で、紋上絵などの際、少量を箇所に塗布し、ドライヤー等で乾燥し、柄描きなどに
用いる浸透剤。
∇フィックス
液体。染料の湿潤堅ろう増進剤。生洗い後の泣き止めに用いる。(直接染料用)
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(抜染助剤)
液体。水溶性のフェニルノール系かフタル酸系があり、膨潤剤としてテトロン等の合成繊維の
抜染に用いる。
∇カタライトS
液体。デグロリン・ロンガリットと併用すれば、抜染効果を高める。
∇蛍光増白剤
白淡黄色の粉末で、動物繊維用・植物繊維用・化学繊維用の三種類があり、
紋洗い・紋抜きなどの際の増白剤として使用。
∇EDTA
酸性(B)・アルカリ性(DC)があり、鉄サビ・含金染料の金属分除去に使用。
硬水中の金属イオン薬剤の反応を抑えるためにも用いる。
∇キレスト
白色粉末で、カルシウム・マグネシウムなどの金属塩の入った硬水の軟水化、
又は金属イオン封鎖剤として使用。
∇ジメチルホルムアミド(DMF)有機溶剤
無色透明の液体で、含金染料染色などによる難抜性の染料の抽出剤。
原液又は水と混合して熱ゴテにて綿布に染料を溶解抽出させて抜染可能にさせる。
∇ジメチルスルホキシド 有機溶剤
無色透明の芳香性のある液体で、DMFと同じ効果を示す。
∇新センポール200
使用法は、DMFと同じ。
∇その他の染料抽出剤
キララP・キララLニュー・グリソルブ(黄色染料の脱色)・グリエシレン。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
染み抜き薬品(補正しみ落し薬品)
性状: ペースト状、油性。
用途: 主にドライ用。汚れ落しに用いられ、油煙・手垢・泥はね・機械油汚れ・衿垢・着用後の
汚れなど、油性の汚れ全般にベンジンと併用して用いられている。
ベンジンソープの主原料は、オレイン酸・アンモニア水・アルコールであり、
アンモニア水は揮発し易く、ソープは元の高級脂肪酸となり、
高級脂肪酸は経日変化して、繊維の変色の原因ともなり、
ベンジンソープ使用には、充分な認識と適正な取り扱いをすべきであり、
生地にソープが残留しない工夫を必要とする。
∇ゲンブクリンC
液体で主にドライ用で、垢汚れなど汚れ落しに使用。
∇スカットル
黄味の粘りのある液体で、溶剤と界面活性剤との混合液で水溶性でもある。
油汚れ・鉄サビ・ゴム物質・インク・マジックインキ・ペンキ・朱肉の汚れ等に効果。
∇ウルトラソープ
ペースト状でベンジンソープと同類。プロセス紋落しに効果的で、酢酸アミル・シンナーと併用。
∇シミレスレット
無色の液体で、水溶性と油溶性の二種類があり、ドライなどで落ちにくい、ウール・化繊・絹などの
マジックインキ、油性ボールペン、コールタール、ガム、泥はね、セメダイン落しに効果的。
∇流動パラフィン
無色の油臭のある粘り液体で、主にスレ直しに使用。
∇ソフナー
白色の液体で、水溶性のエマルジョン。スレ直しに使用。刷毛か布刷くが、主として浸漬法に用いる
∇セロール
透明の液体で水溶性のスレ直し剤。スレが戻らず、色物も黒ずむこともない。
原液を5倍に薄めて用いる。
∇スポッターA
液体でフッ化水素とシュウ酸の混合液で、鉄サビの除去、黄変・アクジミ落しに使用。
フッ化水素が原料であり、皮膚からの浸透に注意。金通し・銀通しの生地に使用の場合は、
充分認識して適正な取り扱いをする。 サビクリンも同様の扱いをする。
∇蛋白分解酵素
タガーゼP-1000・タガーゼR-1000・ネオコーソ・ハイラーゼP-1000・ハイラーゼS・
ハイラーゼL・プロチン・ビオプラーゼ・鳥糞・細菌プロアテーゼ。
血液ジミ・卵白・カゼイン・豆汁・肉ジミなど蛋白質にも動物性・植物性があり、
そのシミに適した蛋白質分解酵素を適正な使用温度・方法にもとづいて使うべきで、
多くの種類があり適正な選択を求められる。基本的な考え方として、安易な塗布に頼るのではなく、
必要量の湯水とその酵素に適した温度の維持が蛋白質ジミを落とすバロメーターとなる。
∇澱粉分解酵素
ネオプライマーゼ(液)(粉末)、コーソ200、プロアターゼA1000・P1000、ラクトーゼ。
でんぷんの除去は、蛋白質の除去とは比較にならないほど技術的にも楽な作業であり、
殆どが浸漬法によりブラッシングする事で容易に落とす事が出来る。 でんぷん分解酵素にも、
細菌酵素、麦芽酵素とは最適温度が異なるように、その種類の適正な使用法を認識すること。
∇リルカット
液体で合成樹脂落としに用いる。
∇カラーアップBL
黒紋付などで深色加工した生地汚をシミ落しして光沢が消えたり、白けた所の復元に適し、
色艶を出す。
∇アンコールセット
スプレー式の深色加工した生地の光沢を復元する艶出し剤で、効果がある。
(染色補正の技法・技術 より抜粋)
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染色補正について
染色補正業は、今から約280年前、享保14年、第114代中御門天皇の御代に
朝廷をはじめ、公家、女官の着用する礼服など染織品の御用を
承っていた御所出入りの小川茶屋、堀川茶屋、西洞院茶屋などが、
染色工程上発生する汚点または難点を除去し、 納品の完全を期するために
調整方を設けて処理する必要から、
京都小川三条に住まいする新宮三右エ門をして専業に当たらせたのが
この業の始まりであり、当時は御手入師と呼ばれた。
これを契機として、呉服問屋、専門店等から調整の依頼が多くなり、業者も幾久屋、
桔梗屋、梅鉢屋など門派を生じ、全国の主要都市に所在し、
直し物屋、落とし物屋と称した。
このような推移を経て我が国染色文化と歴史の中で磨かれた技法が代々継承されて
染織界に大きく貢献してきたのであるが
近代にいたって 繊維製品の発達、染料等の進歩に伴いこれに対応して伝承されてきた
技法に加え、さらに高度な学理的専門知識の必要が生じ、
職業訓練校の設置、 国家技能検定の実施等技能者養成に力を注いできたのである。
この結果、業種も「染色補正」と国家から命名され多数の技能士が誕生し、
業界で消費者の皆様のご要望にお応え活躍している。
一般衣服の加工途次、展示販売、管理保管中あるいは消費者の方の着用後の処理など、
染色の不備または月日の経過によって自然的、人為的に 汚損の生じることは、
染織品の避けることのできない宿命といわれている。
染色補正とは、これら一旦損傷した染織品の生命力を延ばすために
特別な技術をほどこし、経済的価値を復元する治療医学ともいうべき
染色分野における欠くことのできない重要な技術である。
(染色補正の技術・技法より)
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